「仕事も人間関係もうまくいく放っておく力―――もっと「ドライ」でいい、99の理由」は、禅の考え方をベースに、現代人が抱えるストレスや悩みを軽くするヒントをくれる一冊です。自分の力ではどうにもならないことに心を煩わせず、「いま、ここ」に集中することの大切さを説いています。本書から、私たちを生きづらくしている思考の癖を手放し、より軽やかに生きるための「放っておく力」を身につけるエッセンスを厳選してご紹介します。
「放っておく」ことで人生の主導権を取り戻す
世の中には、私たちの意志ではコントロールできないことが山のようにあります。他人の行動、過去の出来事、未来の結果—これらに執着することは、私たちのエネルギーを不必要に奪います。
世の中には、自分の力ではどうしてもコントロールできないことがたくさんあります。他人のこと、過去のこと、未来のこと……それらは放っておく。そこに心やエネルギーを費やさず、かわりに「いましていること」「いまできること」に全力を傾けましょう。
引用:『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力―――もっと「ドライ」でいい、99の理由』枡野 俊明著
つまり、私たちは「自分の思いどおりになるのは自分だけ」というシンプルな真実に立ち返るべきです。
こんな些細なことを気にしていては、自分で自分を生きにくくするようなもの。事の大小を問わず、世の中全般、自分の思いどおりになることなどほぼないのです。別のいい方をすれば、「自分の思いどおりになるのは自分だけ」なのです。
引用:『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力―――もっと「ドライ」でいい、99の理由』枡野 俊明著
自分の内面に目を向け、自分で変えられること、すなわち「いま」の行動に注力することが、充実した人生への第一歩になります。
人間関係をシンプルにする「ドライ」な視点
人間関係、特に親しい関係や職場の関係で悩むことは多いでしょう。しかし、枡野氏は、適度な距離感と冷静な視点を持つことの重要性を説きます。
家族といえども「違う人間」と割り切る
家族に対しても、過度な期待や干渉はストレスの元。お互いの生き方を尊重し、一定の距離を保つことが大切です。
家族関係で大事なのは、「たとえ家族といえども違う人間」と割り切ること。そのうえで、互いの生き方を尊重し合うことです。自分の考え方を押しつけずに、相手の意思を尊重して受け入れ、温かな目で見守ってあげることです。
引用:『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力―――もっと「ドライ」でいい、99の理由』枡野 俊明著
嫌いな人とは「仕事上の付き合い」に徹する
職場に苦手な人がいても、私情を挟まず仕事だけに集中しましょう。嫌な部分に意識を向けず、サラッと流す工夫が心の平穏を保ちます。
仕事をうまく進めて、いい結果を出す」ことだけを考えて付き合えばいいのです。 あと、嫌いな人とうまくやっていくには、コツのようなものがあります。嫌いな人だと思うと、余計に嫌なところが目につくようになるので、そこは見ない、聞かないようにするのです。嫌な言動が出てきたら「あ、はじまったな」程度に軽く受け止め、そのまま流す。あるいは可能なら、話題を変える、席を外すなど、やれることはいろいろあります。とにかく私情を挟まず、感情を入れず、仕事上の付き合いだけに徹すれば、うまくやっていけるはずです。
引用:『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力―――もっと「ドライ」でいい、99の理由』枡野 俊明著
感情と失敗への向き合い方
怒りや後悔といったネガティブな感情は、誰もが抱えるものですが、その扱い方一つで人生は大きく変わります。
思考を「後悔」から「検証」へシフト
失敗は誰にでもあります。大事なのは、いつまでも後悔を引きずらず、それを未来に活かす経験知に変えることです。
大事なのは、思考の方向を「後悔」から「検証」へとシフトすることです。 「あー、まずいことをしちゃったな。でも、何がまずかったんだろう。よし、プロセスを見直してみよう」 というふうに考えた瞬間に、「失敗した過去」は、「未来に失敗しないための経験知」ととらえることができます。
引用:『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力―――もっと「ドライ」でいい、99の理由』枡野 俊明著
怒りの感情は「呪文」でクールダウン
腹が立ったとき、反射的に反応するのではなく、心を鎮める時間を確保しましょう。禅師に教わったという「呪文」は、そのための簡単なテクニックです。
怒りを三秒で落ち着かせる、とっておきの方法をお教えしましょう。次のような言葉を三回、呪文のように唱えるのです。 「ありがとさん、ありがとさん、ありがとさん」 「焦るな、焦るな、焦るな」 「待てよ、待てよ、待てよ」 「大丈夫、大丈夫、大丈夫」 など、どんな言葉でもOKです。 これは、私が故板橋 興 宗 禅師に教わったこと。
引用:『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力―――もっと「ドライ」でいい、99の理由』枡野 俊明著
「いま」に集中し「自分色」の仕事をする
仕事においては、評価や結果を心配するよりも、目の前の作業に全力を注ぐ姿勢が結果を生みます。
いい結果が出るかどうかを心配したり、上司や世間の評価を気にしたりせず、無心になって、ただひたすら自分の持てる力をそこに注ぎ込む。 「人事を尽くす」とは、そういうことです。
引用:『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力―――もっと「ドライ」でいい、99の理由』枡野 俊明著
また、与えられた仕事に「自分ならではの工夫」を加えることで、その仕事は単なる作業ではなく、あなたの創造的なアウトプットになります。
大事なのは、いただいた仕事がなんであれ、「ひと工夫加えて〝自分色〟に染めて仕上げる」ことです。そのひと工夫が評価されて、きっといい結果がもたらされるでしょう。
引用:『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力―――もっと「ドライ」でいい、99の理由』枡野 俊明著
まとめ
枡野氏が伝える「放っておく力」とは、無関心になることではなく、自分の心の置き場所を適切に選び、エネルギーを有効活用することです。他人の評価や、変えられない過去、漠然とした未来の不安を「放っておき」、自分の行動と心の平穏に集中する。これこそが、仕事も人間関係もうまくいくための、もっとも「ドライ」で賢明な生き方なのかもしれません。
あなたも「放っておく力」を意識して、生きづらさから解放されてみませんか?
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